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物語とエロスが満載のブログです。
准教授 美紗子(15)
 美紗子は岩下透に声を掛ける勇気がなかった。彼を呼び止めたら落とし物の所有者がわかってしまうからで、その場で彼を見送った。

 その判断が間違っていたことに美紗子は気づいた。すでにラウンジでのお礼の行為で自分の所有であることが容易に判断がつくからだ。

 美紗子は後悔した。部屋に戻っても落ち着かなかった。買ったばかりのショーツなら気持ちも和らぐが、彼に拾われたテーバックは濡れ痕が付いている。 

 下着に付着した体液を男に見られるということは、衣服を脱がされて裸を晒す以上の恥ずかしさがある。

 美紗子は居ても立っても居られなくなり彼の部屋に電話した。先方が出る。声から彼だとわかる。

「返してください!」
「どちらさま」
 美紗子の感情的な声音と比べて、岩下透が憎らしいぼとの落ち着いた声で訊き返してくる。

「わかっているでしょ」
 美紗子は返した。

 それからしばらく沈黙が続いた。
「…美紗子先生ですか」
「そうです」
 美紗子は憮然として応えた。一回り以上も年下のくせに美紗子だなんて馴れ馴れしい!

 彼の部屋まで行って取り返したい気持ちもあるが、万一、部屋の近くで他の学生にでも目撃されたら余計な疑惑が生じてしまう。

 受話器から押し殺した息づかいが伝わってくる。美紗子は岩下透の言葉を待った。そして言葉が返されてきた。
「俺の宝物を簡単には渡しません」と。

 宝物と言われて美紗子は返す言葉がなかった。たしかに下着ドロボーまで存在するけれど、まさか岩下透ほどの男子でもそこまで言わせしめるものはいったいなんなの…。

 単なる大袈裟な冗談とも受け取れるけれど、素直に解釈すれば彼にとって滝川美紗子に穿かれた下着は宝物にしたいほどに魅惑的な物。単刀直入に言えば、男の性欲を充たすほどに価値が高いのかもしれない。

 これが醜悪な男なら気持ち悪くてたまらないが、彼のような好男子なら年増の女にとっては女冥利に尽きるのかもしれない。

 そんな美紗子をまるで察知したかのように岩下透はさらに追加してきた。
「東京に帰ったら、美紗子先生のテーバックを、勉強部屋の壁に画鋲で貼って、見つめながらレポートを書きます」と。

「そんな…」
 美紗子は彼のリアリティー溢れる言い方に思わず声を漏らして受話器を持ったままその場にしゃがみ込んだ。
そして、
「お願いだから返して!」と悲鳴に近い声で訴えた。

 その美紗子の哀願は本気だった。例え、それが女冥利に尽きても、壁に貼られて日々、見つめられていることを思うと女の部分が火照って、気が安らぐことが無い。
「お願いだから返して、返して、返して」
 美紗子は受話器の相手に哀願し続けた。

「…わかりましたからから泣かないでください」
 美紗子の悲痛な訴えが通じたのか、受話器の相手方から返されてきた。けれども、それは美紗子の恥辱の謝礼が条件だった。

「明日の講義をノーパンでお願いします。パンストも穿かないで。これが俺の宝物を先生に返す条件です」
 岩下透はそう言って電話を切った。

               *****

 翌朝、美紗子は軽い頭痛で眼が覚めた。岩下透に電話を切られてから部屋で一人酒をして泥酔し、そのまま眠ってしまったらしい。

 美紗子はシングルのベッドから下りると、浴衣と下着を脱ぎ捨てバスルームに行って頭からシャワーを浴びた。

 シャワーの勢いが強くて、打たれ水に頭痛が散るように消えていく。その代わりに昨夜、呑みながら自分が叫んでいたことが蘇ってくる。

 …岩下の変態! バカ。

 美紗子は降り注ぐシャワーに顔を向けて、何回も声を出して彼を非難する。だからといって今日のノーパン講義をしないのかというと、そうではなかった。

 自販機から落とした缶酎ハイを飲みながら、いまの自分とって最も大切なのは、不良学生でも卒業させて教授会の信用を勝ち取ることで、そのためには彼の理不尽な要求でも従わざるを得なかった。

 仮に彼の要求を断ったらショーツを取り返すことができなくなり、壁に貼られたり、そのうち他の男子学生に回し見でもされかれない。そんなことをされたら、それこそ大学に通う気力が無くなり、准教授まで辞任しなければならなくなる。

 美紗子は長いシャワーを浴びてから、バスタオルで身体を包んで部屋に戻った。旅行カバンから今日のノーパン講義に着るブラウスとスカートを出してベッドに置く。

 バスタオルを解いて全裸になりCカップのブラを身につける。寄せて突き出すタイプなのでサイズがCだと恥ずかしくなるほどに乳房が突き出して谷が深くなる。そしてブラウスは色の淡いブルーにする。

 問題のスカートは上品な膝上10センチ程度のフレアと膝上20センチのタイトスカートの二着しかない。色はどちらもベージュ。

 フレアだと何かの加減で捲れる可能性が、その点、タイトだとその心配がないけれど、椅子に腰かけると裾が上がって危険水域の奥までが…。

 美紗子は岩下透に要求されたノーパン講義のスリルを秘かに楽しんでいるのではないかと疑ってみた。が、言い訳が苦しくなるので疑いを断ってフレアスカートを穿くと講義資料を掴んで部屋を出た。


      読者様へ

『准教授 美紗子』は小休止します。その間、『秘書の査定2』を8/21(金)から連載します。…ご期待ください。


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