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准教授 美紗子(45)
 岩下透が自動車免許の試験に合格したとき美紗子はレストランでお祝いの食事会でもと思っていた。が、大学の関係者に目撃でもされたらと白紙に戻し、免許証の交付まで待つことにした。

 九月の連休を数日後に控えた金曜日。美紗子は卒論ゼミの講義を終えた後、いつものように岩下透からの要約レポートのカタカナの部分を繋ぎ合わせてみた。

『ダイガク/ノ/カエリ/ニ/ケイサツショ/ニ/メンキョショウ/ヲ/トリニイッテキマス』
『大学の帰りに警察書に免許証を取りに行ってきます』 となっていた。

 美紗子はこんなことに胸が高鳴るのを覚えて、「…やめてよ」と自身を咎めてから、『気を付けて』と要約レポートの下欄に記した。
そして、彼にレポートを返すときには無意識のうちに彼の手や肩に軽く振れていた。

 もっとも、岩下透がレポートとを提出するのは聴講生の一番後で学生たちは研究室から退出している。だから、彼の身体に触れたぐらいでは問題がないが、この日に限って岩下透がスキンシップのお返しをしてきた。

 教壇を外していた美紗子の下腹部をタイトスカートの上から包んできたのだ。美紗子は彼の手を掴んだが腰が逃げてくれない。

 愛撫されながらも片方の手でスカートの裾が捲くられて、テーバックごと美紗子の恥部が撫でられていく。

「ぁッ…ぁ…ぁぁ」
 美紗子の口から声が漏れ、とうとう腰がビクピクンとしゃくりあがる。

「早く美紗子先生とドライブに行きたいです」
 岩下透はそう言って美紗子の恥部を執拗に撫でてくる。

「…こんなところでやめてぇ」
 美紗子は彼を非難して腰を逃がそうとする。

「濡れてきた!」
 岩下透は手に滲んできた温かい感触を口にする。

「やめて、だめぇぇ!」
 美紗子は腰をビクンピクンさせながらも、女の勇気を振り絞ってその場にしゃがみこんだ。 

 岩下透もゼミの教室から出て行った。 

                       *****

 その日の夜、美紗子は帰宅するとデスクのパソコンを起動して出会い系サイトのラブコンタクトのマイペーシを開いた。

 真昼間に女の大切な部分を濡らしてきた変態くんからメールが一通届いていた。

 サムこと岩下透からユングこと滝川美紗子へ
『免許証を受け取りました。それで約束のドライブに美紗子様をお誘いしたいと思います。それはいいのですが、秋の連休なので、どこの事業所のレンタカーも予約済で困りました。残っているのはレンタル料金の高い車だけです。どうしますか』

 美紗子は岩下透の目論見が手に取るように分かる。

 ユングからサムへ
『高くても良いですから予約してください。私が支払いますからご安心ください。それから、ドライブ旅行ですが二泊でどうですか。これまでの卒論ゼミの講義で疲れているの。だから温泉に浸かってのんびりしたいの。ホテル代は私が払います』

 サムからユングへ
『卒論ゼミ、お疲れさま。のんびりと、わかりました。また美紗子先生に甘えます。レンタル車はレクサスになりますが三日間、これから予約します。結果のメールをします』

サムからユングへ
『九月十八日から三日間、レクサスを予約できました。旅館はどうします』

 ユングからサムへ
『ドライブ楽しみだわ。旅館のことは心配しないで、岩下くんは運転のことだけを考えなさい。安全運転よ。大切なこと忘れていました。待ち合わせ場所は、私のマンションの玄関前でどうですか。それとレンタル料金、とりあえず十万円を岩下くんの口座に振り込んでおきます』

 サムからユングヘ
『何から何までありがとうございます。十八日の午前十時にマンションの玄関前に車でお迎えに行きます』

 ユングからサムへ
『お待ちしています。気をつけてね。お休みなさい』

 この後、美紗子はシャワーを浴びてから旅館の予約のためにパソコンを起動した。ネット予約の大手代理店のトップ画面から日時、行先、温泉地を入力して検索。

 案の序、リーズナブルな旅館は満室で残っているのは高級リゾートホテルと老舗の旅館だけで、一泊一人当たり五万円以上が大半だった。

 …こんどこそは大きな男の道具を酷使してもらいますから。この金喰い男。
と、美紗子は口元に憎しみとも可笑しみともわからない笑みを湛えて予約のボタンをクリックした。

                       *****

 翌日、美紗子は休講日で午前中、部屋のカーテンを夏用から秋用に替えると、簡単な昼食を済まして東京まで買い物に出た。ドライブ用のカジュアルな洋服を揃えたかった。
 
 東京駅を降りた美紗子のヒールの靴音は銀座のブティックへと向かった。昨夜、ネットでホテルを検索しているときに、画面の広告で見かけたルイ・ビトンのボディコン、ミニワンピースが欲しくなったのだ。

 そのブティックは銀座の六丁目にあるブティック専門ビルの二階にあった。エレベーターを下りた所が店の正面玄関で、美紗子はサングラスの掛け具合を硝子戸に映っている影で確認してからドアを開けた。

「いらっしゃいませ」
 鬱陶しくない程度のお客に対する挨拶と声の大きさ。

 美紗子は店の雰囲気にほっとして店内の奥へと向かった。その美紗子の後から若い女の店員がついてくる。その店員に美紗子は気づいて振り向き、
「ネットで見た、ビトンのボディコンは…」
と、声を掛けた。

 狭い店内を見廻してもビトンのワンピースは見かけないので、売り切れか、客寄せかと疑った。

 店員は美紗子の傍まで来ると視線を下げて、
「申し訳ございません。昨夜、お客様から予約が入りまして、店内から下げさせていただきました」
と、事務的に言葉を並べて謝り、踵を返して美紗子から離れようとした。

「お待ちなさい! 今朝、ネットを確認したら、まだ広告のトップに飾られていたわよ。どういうおつもりなの!」
 美紗子の声が店内に響くほどに大きくなっていた。美紗子自身、このところ神経がすぐにイラ立つのを覚えていた。普段、女の欲求が捌け口を求めて体の奥で燻ぶっているのが、こうして何かあると体の外へと吐かれてくる。



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maybach | URL | 2021/08/27(金) 07:15 [編集]
あのボデコン可愛いですよね。セレブなインスタグラマーがよく着てますね。そういうのも抜かりなくチェックしてるんですね。脱帽です。頑張ってくださいね。

tetuya | URL | 2021/08/30(月) 10:17 [編集]
コメントありがとうございます。

作者は学生時代、お歳暮の時期、日本橋と銀座の百貨店で良くアルバイトをしていましたから、どうしても小説のヒロインを百貨店に買い物に行かせてしまいます(笑)

美紗子を幸福にするまで頑張ります。


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