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美肉捜査2(1)
     第一章 媚肉

 K県警本部捜査一課の高杉晋は本部長秘書の松見圭子と日が傾きかけた上野公園を歩いている。そのふたりの口数は少ない。これまで二人が交わした会話といえば、待ち合わせた場所での西郷の銅像と天気のことぐらいで、歩きだしてからは何も話していない。

「この事件は降りた方がいい…」
 高杉は繰り返して言う。

「もう言わないで」
 圭子が高杉の腕に腕をからめて返す。

『この事件を議長の娘にも捜査をさせてやってくれ』
と、前回に続いて本部長から頭を下げられ渋々引き受けた高杉である。

 事件というのは一月前、芸能プロダクションに所属しているグラビアアイドル他、一般人の若い女性が連続して行方不明になり、先週には新たにテレビ局の女性アナウンサーまでが局にも自宅にも姿を見せず、その家族から警察に家出人捜索願が出された。

 さらには、これらの失踪を裏付ける複数の目撃者まで現れた。目撃した彼らが口をそろえるのは、男に強引に車に乗せられるのを見たという証言だった。

 警視庁とK県警本部は異例の誘拐事件として合同捜査本部を設け、これまで延べ五百人の捜査員を動員しているが成果はあがっていない。

 こういった女性誘拐事件はアメリカ、東南アジアでは多く、犯人の動機は人身、臓器売買、監禁しての性的虐待と様々だ。そういう犯罪事情もあり、今では女性の囮捜査官の体内に埋め込むことができる超小型発信器が開発されている。

 その発信器を性犯罪捜査担当の高杉が一昨日、渡米してニューヨーク市警から日本に持ち帰ってきた。それを圭子の子宮に挿入するために、あの思い出のある上野公園に自然と足が向いたわけだが、あの時はボートに乗せて脚を開いて度胸を試させてもらった。しかし今日は開脚どころか子宮の奥まで拝見させていただくことになる。

「警察病院の方がいいんじゃないか…」

 高杉は圭子の意思を再度確認する。彼はニューヨーク市警でその発信器の子宮挿入方法の映像が録画されたUSBメモリまで持ち帰っている。  

 子宮頚への発信器の挿入を警察病院の産婦人科医に任せる方法だが、それだと日本警察で禁止されている囮捜査がばれてしまうということになる。だが、圭子の母体の安全性は高杉が挿入するのとは格段の差がある。圭子もそのことは熟慮の末の決断だった。

「決めたことだから、もう、いわないで」
 圭子は高杉の腕を胸に抱き寄せる。
 

「そこまで覚悟しているのなら、行くか…」
と、高杉は踵を目的地へと向ける。



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