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DATE: 2016/06/20(月)   CATEGORY: 秘書 倫子(01-20)
秘書 倫子(20)
 檜山のレクサスが寄った場所は、丘陵の奥深くにある神山三滝という景勝地だった。檜山が良く行く場所らしく、車を馴染みのある温泉旅館の駐車場に停めさせてもらう。

 車を降りた倫子たちは渓流沿いの遊歩道を歩いて行った。道はゆるやかな登りで流れに沿うように丘陵の奥へと続いている。

 平日の昼下がりで道を行き交う観光客も少なく倫子たち三人は横に並んで歩いていたが、檜山が倫子に話しかけるのが多くなると、小野田が気を利かして数歩、遅れて歩くようになった。

「美人を頂く方法のひとつは、こうして一緒に歩くことです」

 檜山は倫子を見つめて笑う。

「わたしは美人ではありませんから」

 倫子は少しきつい調子で返す。彼の美人という言葉には、車の中の行為でもわかるように軽く思われている不快な響きを感じる。

「気分を害しましたか、僕もしつこかったかな、あやまります」
「あやまるなんて…。そこまでは」

 倫子は言葉が過ぎたのではないかと思い、その失礼を補うように身体を離さずに逆に檜山の方へと寄せるようにした。この辺が倫子の女らしい部分で、気分を害して黙り込んだ檜山も気を良くして、ふたたび話しかけてくる。

「大手の悪い所は系列からなかなか抜け出せないことですよ。天下りが多いのです。でもこの学園都市ではそれを打破してみようかと思っています」

 その檜山の言い方には、ただの女好きではない若手の支社長らしい仕事に対する意気込みも感じられ、倫子はある意味でほっとした。

「そのためには新進気鋭の建物屋さんに、新風を吹き込んでもらおうかと思ったりしましてね」
「よろしくおねがいします」

 倫子は小野田に代わって檜山にお願いをする。その小野田は倫子からだいぶ遅れて歩いてくる。

 神山三滝とは男滝、女滝、夫婦滝の三つの滝の総称で、沢の遊歩道を上っていくにしたがいその滝が順に現れてくる。各滝の入り口には土産物屋が在り、お御籤を売っている。そのお御籤を檜山が二つ買い、一つを倫子に渡す。

「吉か…」

 檜山がお御籤を開いて呟き、倫子のも覗きこんでくる。

「大吉だわ!」

 倫子は時が時だけに、小野田ハウスの将来を占っているようで、その結果に思わず声を上げた。

「これで学園都市は小野田ハウスさんに決まりか」

 檜山も顔に満面の笑みを湛えて、喜んでいる倫子を見つめてくる。美しい小顔と形良く突き出しているブラウスの胸、そして柳のようなしなやかな腰回りと短めのタイトスカートから伸び伸びとしている美脚まで視線を這わせていく。

 …いい女だ。

 檜山は呟く。

 お御籤の後、倫子たちは男滝を見学するために渓流に架かった丸太橋を対岸へと渡った。そこから沢沿いの小路を倫子は、先を行く檜山の後について行く。

 男滝は沢の奥に在り、巨大な岩壁の頂きから沢の全水量を落していた。滝壺には水煙が立ち昇り、一条の陽が射して小さな虹を架けている。それがあまりにも綺麗で倫子は見惚れた。

 その倫子の肩に小野田の手が遠慮しながらも置かれてくる。

「何回もここにきたことがありますが、虹が架かったのを見たのは初めてです」
「…きれいですね」

 倫子はその檜山の手を意識しながらも、気にしない振りをして返す。

「大吉に滝の虹か…」

 檜山が呟き、倫子の肩に置いた手を腕の方へと落しながら抱き寄せてくる。倫子は周りを窺うが、岩と樹だけで人の気配がない。小野田はだいぶ前から姿も見せなくなっている。

 檜山に抱き寄せられた倫子は身体を自然のままにする。いずれ檜山にこうされることは、彼の会社にご挨拶に伺った時、予感はしていた。下請けの社長秘書という、お上には抗うことのできない女の立場を倫子は承知している。

「…小野田ハウスをおねがいします」

 倫子は再度お願いし、檜山が身体を放してくれるのを待った。しかし檜山は太い腕で倫子を囲み込むように抱き寄せてくる。滝を見ていた倫子の身体が檜山の方に向いていく。突き出しているブラウスの胸が檜山の身体に押し付けられていく。

「今夜、一緒にお酒を飲む約束をしてくれるまで放しません」

 檜山は倫子をいっそう強く抱きしめてブラウスの突き出しを我が胸に押し付ける。

「…わかりましたから」

 胸に手を持っていくのを忘れた倫子の乳房に檜山の体温が直に伝わってくる。好きでもなんでもない男の体温なんて不快の何物でもないのに、倫子の女盛りの身体は相手が男だというたけで熱くなっていく。それが許せないこともあり倫子は、

「…わかりましたから、放してください」

 と再度、檜山にお願いをする。しかし、彼の腕は腰から解かれることはなく、お尻の手も放れようとはしない。しかたがなく倫子は彼との間に手を差しいれて身体を放していく。そうして身体が離れると檜山の方から倫子を放した。




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