2ntブログ
Eros’Entertainment
物語とエロスが満載のブログです。
美肉捜査2(3)
      第二章   誘拐

 高杉は本部長室でグラビア写真集を本部長に見せている。その写真集には警察勤務の一般職の女が、原石から磨かれた宝石のごとく写っている。スタイリストによってメイクされた髪型や化粧、そして身に着けた衣装で別の女のように見える。

「もし、このグラビアの女が娘だとわかったら首が飛ぶな」

 本部長は自分の喉を手で切る真似をした。
 その彼が見ているページには極小の水着で挑発的なポーズをとっている松見圭子が写っている。撮影場所はハワイの海岸とホテルの部屋で、プロダクションに所属しているグラドルの撮影に同行させて撮ったという。

 そのプロダクションの社長がいうには圭子は並みのグラドルよりセクシーな体をしていて、何度も警察の職員なんか辞めて本格的にデビューをしたらどうかと口説いたらしい。その高杉の説明を聞いた本部長はため息をついてグラビア雑誌を閉じた。

「これからどうするつもりだ」
「プロダクションにすべてまかせてあります。ネット、週刊誌、スポーツ新聞にどんどん載せていくそうです」

「議長にわかるぞ!」
「あの議長と母親のことです。まさかうちの娘にかぎって、と先入観がありますから、万一、目にしたとしてもうちの娘に似ているぐらいしか思わないものです」

「そんなものかな」
「そんなものです」

 高杉は本部長を安心させ写真集を持って退室すると、通り抜ける秘書室で圭子に目配せをして、捜査一課の係長の席に戻った。

 パソコンを起動し暗証番号を入力する。トップ画面の下段のツールバーにメールが受信されたことを示す赤い数字1が点灯している。クリックすると交通課の女警からだった。

『今夜、食事でもどうかしら』
『例の誘拐事件で忙しい。今週は勘弁しろ』

 高杉はそう返信し、ニューヨーク市警のネット回線に入り、性犯罪のプロファイリング専門部署のヤング捜査官と英文で交信を始めた。高杉からはこれまで捜索願のだされた女の特徴と身辺環境を送信する。

 しばらくして、ヤング捜査官から送信されてきた文章と写真は高杉を不快な気分にさせた。特にその写真は女の恥骨の皮膚を剥がして縫い合わせた毛皮で、縮れた金色の毛は陰毛ということだった。

 高杉がニューヨーク市警に出向しているとき囮捜査でも、この事件の犯人宅の特定はできていなかったが、今回の交信でも成果はあがっていないという。さらには米国から日本への犯人逃亡の可能性について言及してきた。

『仮に俺が犯人で性倒錯の趣味があったとしたら、金色の毛皮の次は黒色を選ぶだろう。その陰毛は大和撫子、芸者の日本女の陰毛だ』と。

 高杉はそれが杞憂であることを祈った。
 高杉はネット回線を国内に切り替えた。するとメールが送信されていた。圭子からだった。  

『発信器大丈夫なの?お腹の辺りがなんかおかしいの。調べてみてくれる』

 高杉はパソコンでグーグルアースの県警本部の建物を画面に拡大した。圭子の子宮に装着した発信器はしっかりと点灯している。

『確認したところ異常なし』

 と高杉は送信する。すると圭子から、

『衝撃に耐えられるのかまた試してほしいの…』

 と返されてきた。

 
 発信器を装着してから、ますます挑発的な服装で身を飾るようになった圭子を高杉は車に乗せて夜の街から郊外へと走らせている。その彼女はショーツがチラついて見えるほどに丈が短いタイトスカートを穿いている。

「あの発信器を付けると、性欲が増すの?」

 圭子はグラビア撮影のハワイで、カメラマンとマネージャーの二人に抱かれそうになった。男の口説きを拒むことができないほどに身体が欲するのだ。

 車は高速を飛ばして一時間になる。インターごとに道路から、林を拓いた平地や丘にラブホテルのネオンの輝きが誘ってくる。

「ありえるかもしれんな……」

 そう答えた高杉の持つハンドルの手の一つを圭子は掴むとスカートの奥へと押し付ける。高杉はその手をそのままにする。熱く潤っているのが薄い生地を透して伝わってくる。

「わかるでしょ。こうなった責任をとってほしいの…」 

 逃げようとしている高杉の手に圭子はショーツごと秘部を押し付ける。発信器の装着後、刺激に過敏になっていて、もともと濡れやすい体質がさらに濡れやすくなっていた。

「わたしが、どこかの怖い馬の骨に抱かれてしまってもいいの」
「それはこまる」
「だったら、このインターで降りて」

 圭子は高杉に有無を言わさずに車をインターから降ろさせた。

 その高杉の表情を圭子は盗み見る。深刻な顔付きになっている。女警はガス抜きのために抱いてもいいが、このわたしは例外だと自分の保身のために勝手な理由を付けて逃げようとしている。  その理由付けを考えているから、そんな不機嫌な顔をしているのが圭子にはわかる。

「あんな凄い抱き方をして、それでおしまいなんて、女の生理を無視しているのがわからないの」
「…すまん」
「すまんって、謝ってすむことじゃないでしょ」

 高杉はインターを下りてから、圭子の指図に従いホテルの車庫に車を入れた。その高杉は圭子の誘いを断ってはいけない深刻な女の生理を理解しようとしていた。子宮頚に装着した発信器の電波が性欲を司る神経に作用することは充分に考えられた。その女の性欲を宥めてやるのは、あの装着時と同様、マル性の捜査の一環として扱ってもいいのではないか。

 県警随一の別嬪の局部に肉棒を打ち込んでしまいたい。という男の欲望のためでは決してない。高杉はそう信念を捻じ曲げてまで圭子を抱くことにした。そのときである。

 携帯が鳴った。高杉は背広の上着を広げて携帯を掴むと耳に当てた。あの断った女警からかとぞんざいな返事をしたら、捜査一課長からだった。

「いまどこにいる」
「御殿場のホテルの駐車場」

 高杉は気後れすることなく堂々という。

 県警本部の幹部連は、欲求不満の女警たちが男欲しさに関係した者から警察内部の情報が外に漏れるのを未然に防ぐため、彼女たちの肉壺を満たしてやっているのが高杉だと暗黙のうちに見逃してくれているのを知っているからだ。

 課長は一瞬だまってから、

「大黒埠頭で殺しだ!ばかやろう」と叱りつけてきた。
「わかった」

 高杉は落ち着いた声でそう返事した。
 圭子に理由を話すと、つんとして顔を明後日の方へ背けた。



Copyright © Eros’Entertainment. all rights reserved.