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DATE: 2016/11/01(火)   CATEGORY: 秘書 響子(21-40)
秘書 響子(22)
 戦略会議の後、営業部は翌日から東洋地所の本社や事業所を熱心に訪問し、開発部は建設中の住宅の品質や資材の調達コスト等の調査を開始した。

 後は、東洋地所からの御沙汰を待つだけだったが、梅雨が明けても電話の一本もなかった。やはり営業部の名刺配りだけでは新規事業の参入は無理ということの証だった。

 そんなとき倫子から嬉しい知らせがあった。彼女が芙蓉不動産の社長のゴルフに付き合っているうちに偶然、東洋地所の社長と顔を合せることになった。

 芙蓉の社長と東洋の社長はゴルフ仲間で、倫子はその東洋地所の社長とコースを一緒した時に、小野田ハウスを売り込むことを忘れなかった。

 その彼女の売り込みには美貌の女体を武器にした活躍があったが、それはともかくとして、倫子の努力により東洋地所の開発部長が小野田ハウスの社長から直接話しを聞く機会を作ってくれることになった。

                        *****

 その日、響子は初めての秘書らしい仕事に緊張して小野田と会社を出た。
 初夏の日差しが照りつけている街路を社長と歩く響子のブラウスの胸がヒールの靴音とともに悩ましく震えている。

「東洋地所の資本金と従業員数は?」

 小野田が突然そんなことを響子に質問してきた。響子は落ち着いて答える。

「資本金は約四百五十億円で従業員は約八百人ぐらいです」
「…。では会社の沿革は?」

「創業が平成三年で本元は金融業です。その潤沢な財力で赤字のゴルフ場を買収し不動産事業へと乗り出しています。不動産関係の事業所は本社を含めて関東に三箇所、関西に二箇所です。社長は創業者の佐伯一郎です。開発部長は長男の佐伯俊彦です」

 響子はこれまで得た知識を頭で整理しながら口にしていく。

「なるほど。秘書らしくなってきたね」

 小野田は満足して響子を褒める。緊張していた響子は小野田に褒められてほっとし、肩の力を抜くことができた。
 二人は百貨店で菓子折りを購入してから駅へと向かった。

 JRと地下鉄を乗り継いで東洋地所の本社ビルの最寄りの駅で降りた。
 地上に出ると正面に本社のあるテナントビルが聳えている。二人はビルに入り、エントランスの椅子に腰かけて打ち合わせを済ませてからエレベーターに乗り三十三階で降りた。

 ホールには訪問者が控えるソファーが置かれていて、その正面に会社のロゴマークが描かれた洒落た受付があり女性が二人座っている。

 響子は小野田から名刺を受取って受付嬢に渡し、開発部長との面会の約束を伝えた。受付嬢がインターホンで連絡を取るとカウンターから出てきて招いてくる。二人は事務所の中を彼女の後に付いていく。

 事務所内はホール全体に事務室がオープンで広がっている。それに並行して会議室や談話室がパーテーションと観葉植物で区切られながら続いている。

「こちらです」

 階の外れが部長室になっていた。受付嬢が示したドアには開発部長と記されている。

 受付嬢がドアをノックして開け、二人は中に招かれる。部屋は広く壁には開発プロジェクトの写真が幾つも掲げられていた。






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