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DATE: 2016/09/19(月)   CATEGORY: 秘書 響子(01-20)
秘書 響子(3)
 応接間に小野田が現れると、響子は快い緊張感に包まれた。
 その理由はよくわからないが、ともかくも、この男の秘書になったことに後悔はしていなかった。

 響子はソファーから立ちあがると採用のお礼を言い、丁寧なお辞儀をした。

 小野田はその響子に座るように言い、

「あなたが来るのをお待ちしておりました。これで美人秘書が二人も揃って世界で一番恵まれた社長になったというわけです」

と、顔に似合わぬ美辞麗句を並べてソファーに座った。

 二人が揃うのを待っていたように倫子が淹れた珈琲をテーブルに置いて、小野田の隣に座った。

「通勤は混んでいたでしょう」
「はい、とっても」

 美しい微笑を顔に湛えた倫子の問いかけに、響子も負けずに魅力的な微笑で応える。その後、応接間の三人は取り止めのない世間話になった。通勤電車の混雑のことや、新しいテナントビルの快適な空間について等。

 そうして響子の緊張も解れたころ、彼女が勤務していた銀行の話しになった。それは面接の時にも聞かれたことだった。再就職先で、過去の会社の勤務歴を聞かれるのは当然のことで、響子は隠さず話していく。

 響子は銀行に入社して預金の窓口に一年間、席を置いてから、融資を担当した。響子はこれからが本当の銀行の仕事だと思っていた。それなのに一年も経たないうちに辰也と付き合い始めて半年で結婚し、すぐに妊娠して育児休暇を取った。

「そうですか。せっかく融資を担当したのに」

 小野田が残念がるように、銀行職の中でも融資は女の総合職のエリートコースにもなっている。それなのに仕事よりも辰也との結婚を選んだのは女の切ない都合としか言いようがなかった。

「仕事よりも結婚を選ぶ女性の方が僕は好きですよ」

 これから仕える社長の小野田が理解してくれて響子はほっとする。
  
 二十代前半の女盛りが、男の肉棒に突かれるようになったら、女の出世欲なんて霧散してしまう。まして辰也は響子の制服の下に隠された男好きのする女体を見抜いて攻めてきたような男だった。抱かれているうちにセックスの気持ち良さを仕込まれて、気が付いたら響子の方から求めるのが多くなっていた。だから辰也との結婚も、むしろ響子の方が積極的だった。

 一方で小野田も、響子が銀行の仕事よりも男との生活を選んだことに、彼女の性欲の強さまで見抜いていた。それから十年以上は経っているが、若い頃の体質は人妻になっても変わるものではない。

 …人妻 秘書として、取引先のお偉方を接待するには、持って来いの女かもしれない。

 そうして響子の銀行の話が終わり、倫子が用意しておいた秘書の事務分掌を彼女に手渡して説明していった。それで響子の視線が倫子に向けられるようになったことで小野田は非難されることなく視線を響子の肢体に向ける。

 小野田か面接で見抜いた以上に響子は男好きのする女体を所有していた。あの緩めのブラウスで隠していた乳房の突き出しが、いまでは誇るがごとくであり、膝上のタイトスカートを穿かせてソファーに座らせてみれば、美脚がおしげもなく露出されて、奥の行き止まりに悩ましいショーツの柄まで見せている。

 …小野田ハウスの秘書はこれでいい。

 小野田は響子に察知されないほどほどのところで視線の愛撫を切り上げて社長の席に戻った。

「この後、大会議室で合同の新人研修がありますから、そちらの方にいらっしゃってください」

 倫子もほどほどの所で切り上げて響子を研修会場へと案内した。

 機構改革に伴う新入社員の研修は一週間の予定になっている。その研修が終った週の金曜日からは、各部署での専門研修で、響子の場合は二泊三日でリゾートホテルでの秘書の実務研修になっている。

 響子は子供の世話を夫に任せて参加せざるを得なかった。もちろん、このような家族に負担をかける日程も高給優遇の秘書になったからにはしかたがないものと諦めていた。


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